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労働者が「介護休暇を利用したい」と希望したときには給与は必要?

2021年09月13日
  • 労働問題
  • 介護休暇
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労働者が「介護休暇を利用したい」と希望したときには給与は必要?

労働者の両親や近親者に要介護者がいる場合、仕事との両立が難しく、退職せざるを得ないケースもあるでしょう。しかし、仕事と介護を両立させるために、「介護休暇」という制度があります。

本記事では、高齢の親と同居している労働者が親の世話をするために介護休暇を取得した場合、会社はその分の給与を支払う必要はあるのか、介護休暇の概要と併せてベリーベスト法律事務所 町田オフィスの弁護士が解説します。

1、介護休暇とは

高齢の親を抱えながら仕事をしている労働者は、仕事と介護をいかに両立していくかを考えなければなりません。そうした苦悩を上司や同僚に打ち明けられず、人知れず悩んでいる労働者もいるのではないでしょうか。そうした方にとって、仕事と介護の両立に欠かせない制度のひとつのが、介護休暇です。

介護休暇とは、要介護状態にある対象家族の介護や世話をする労働者に与えられる休暇です。食事や排せつの介助のためだけではなく、ケアマネジャーとの相談や施設の見学、通院の付き添いなどにも使えます。

  1. (1)介護休暇の取得要件

    介護休暇を取得できるのは、要介護状態(※)の対象家族を介護しており、雇用期間が6か月以上の労働者です。
    ※要介護状態とは、2週間以上にわたって常時介護を必要とする状態で、要介護状態区分が要介護2以上であるほか、厚生労働省の定める基準に該当していることが必要です。

    正社員、契約社員、パート・アルバイトなど雇用形態に関係なく取得することができますが、日雇い労働者、雇用期間が6か月未満の者は取得できないなど一定の制限もあります

    要介護者については、労働者本人の配偶者、父母、祖父母、子ども、孫、兄弟姉妹であることが条件となります。

  2. (2)介護休暇を取得できる日数

    介護休暇は、1年間に5日取得できます。要介護状態にある対象家族が2人以上いる場合は、10日を限度として取得可能です。介護休暇は年度ごとに更新されるので、1年間で使いきってしまっても、年度が変わればまた5日(または10日)取得できるようになります。

    介護休暇は取得できる日数が少ないため、普段はほかの家族が介護を担っているが、その主たる介護者が体調を崩したり、外出する用事ができたときなど、突発的にお休みをとる必要があるときに使用されることが多い傾向にあります。

  3. (3)介護休暇の申請方法

    介護休暇を取得したいときは、通常の有給休暇と同じように上司に口頭で伝えれば問題ありません。「前日までに申請しなければならない」などのルールもないので、休む当日の朝に電話で申し出ることも可能です。ただ、申請書への記入が必要というルールを設けている企業もあるので、人事部や総務部の担当者に相談の上、必要に応じて準備をしておくとよいでしょう。

    介護休暇を申請するときに会社側に伝える事項は以下の4つです。

    • 労働者の氏名
    • 対象家族の氏名および労働者との続柄
    • 介護休暇を取得する年月日(時間単位で取得する場合は開始時間・終了時間も)
    • 対象家族が要介護状態にある事実


    なお、法律上の決まりはありませんが、対象家族の氏名や労働者との続柄、対象家族が要介護状態にある事実については、労働者に対して証明書の提出を求めることもできます。その場合は、労働者が休暇を取得する前もしくは取得したのちにすみやかに提出してもらうとよいでしょう。

2、介護休業との違いとは

介護を必要とする家族を抱える労働者は、介護休暇だけでなく介護休業を取得することもできます。介護休業は負傷や疾病、身体もしくは精神上の障害などの理由から、2週間以上の期間に常時介護が必要な対象家族を介護するための休業のことです。

  1. (1)介護休業の取得日数

    介護休業は、対象家族1人につき通算93日まで、3回を上限として分割して取得することができます。介護休業期間は、基本的に労働者の申し出た期間になります。介護休暇は1年につき5日間(対象家族が2人以上の場合は10日間)のみなので、介護休暇と介護休業では取得日数に違いがあります。

  2. (2)介護休業の申請方法

    介護休暇は長くても5日間しかありませんが、介護休業は長期にわたることがあり、業務にも影響が出る可能性があります。そのため、介護休業を希望する場合は、休業を開始する日の2週間前までに会社に申し出ることが必要です。人事部や総務部などの労務担当者は、介護休業の取得を希望する労働者やその上司を交えて話し合い、介護休業開始日と介護終了開始日を決めて手続きを行います。

  3. (3)給付金の有無

    介護休暇は数日お休みを取るだけなので、給付金制度などはありません。一方、介護休業は最長93日間もの長期にわたり、その間会社から給与も支払われないので、無収入となると家計がひっ迫するおそれがあります。そこで、その間の休業補償として雇用保険から介護休業給付金が支給されます。

3、令和3年より改正育児・介護休業法が施行。 変更点は?

令和3年1月1日より改正育児・介護休業法が施行されました。今回の改正では、育児休業・休暇や介護休業・休暇の運用に変更点がありますが、どのような点が改正されたのでしょうか。

  1. (1)時間単位の取得が可能に

    これまで、介護休暇は半日単位もしくは1日単位でしか取得できませんでしたが、今回の改正により、時間単位でも取得することができるようになりました。そのため、たとえば「親の通院への付き添いで2時間介護休暇を取得したい」などのように短時間の用事にも使えるようになったのです。

  2. (2)全ての労働者が利用できるように

    今までは、所定労働時間が4時間以下の労働者は介護休暇を利用することができませんでした。しかし、今回の改正によって所定労働時間の要件が撤廃され、4時間以下の短時間で働く労働者でも介護休暇が取得できるようになりました。

  3. (3)時間単位で介護休暇を取得させるときの注意点

    時間単位で労働者に介護休暇を取得させる場合、注意点が3つあります。

    ① 中抜けを認めるかどうか
    法律上、介護休暇は就業時間の途中の取得、いわゆる「中抜け」がないものとして規定されています。しかし、法を上回る措置として、会社ごとの判断で「中抜けを認める」とすることも認めています
    労務管理が煩雑になるのを防ぐために、たとえば「中抜け取得時間を1日2回までとする」ということも可能ですが、始業または終業時の休暇は申し出があれば必ず認めるものと解釈されています。

    ② 所定労働時間が日によって異なる場合
    シフト制で働いている方などは、日によって所定労働時間が異なることもあるでしょう。その場合、平均所定労働時間数を1日の時間数として扱うものとされていますが、「1日単位」で取得するか「時間単位」で取得するかによって有利・不利が出てくることがあります
    たとえば平均所定労働時間が6時間の方が1日の所定労働時間が8時間になる日に1日分介護休暇を取得すれば1日分として扱われますが、時間単位で取得した場合は1日分+2時間となり1日分以上介護休暇を使ってしまうことになります。

    そこで、日によって所定労働時間が異なる場合は以下のように取り扱うこととされました。

    • 時間単位で取得する場合の「時間取得」は「休暇を取得しようとする日の所定労働時間未満」
    • 「休暇を取得する日の所定労働時間分の休暇を取得する場合」は「1日単位」


    ③ 所定労働時間の端数は時間単位に切り上げ
    所定労働時間が7時間30分のように、端数が出る場合は、時間単位に切り上げます。たとえば、1日の所定労働時間が7時間15分であれば、介護休暇を取得できる時間は8時間あるものとして扱われます。ただし、会社が分単位での介護休暇の取得を認めている場合は、分単位で計算されます。

4、企業に求められる介護休暇への対応

今は介護休暇を希望する労働者がいないかもしれません。しかし昨今では、優秀な人材の離職を防ぐためにも、介護休暇や介護休業に柔軟に対応することがどうしても避けて通れないものになるでしょう。では、具体的にどのような対応が企業に求められるのでしょうか。

  1. (1)就業規則を整備する

    休暇については就業規則の絶対的明示事項になるため、介護休暇についても必ず就業規則に記載しなければなりません。その際、取得できる条件や日数、期間、申請方法、賞与・退職金の算定期間への参入の可否などについて規定します。就業規則の規定は育児・介護休業法の規定を最低限クリアしなければなりませんが、法よりも有利な規定にすることは問題ありません。

  2. (2)介護休暇取得を拒むことはできないと理解する

    労働者が「介護休暇を取得したい」と申し出たときは、法律上どんな理由があっても会社側はこれを拒むことができないというルールになっています。また、介護休暇の取得を理由に降格や減給、賞与カット、解雇などの不利益を課すことも許されません。このことを経営陣や管理職にはよく周知しておくことが必要です。

    「業務の繁忙期に休まれると困るから」と介護休暇の取得を拒んだ場合、「この会社では仕事と介護を両立できない」と考えた人材がどんどん離職してしまうおそれもあります。労働者には休暇を活用してもらうことで仕事と介護の両立を会社として支援することが、人材流出を防ぐ手だてにもなるでしょう。

  3. (3)介護休暇に給与を支払うかどうかは任意

    改正育児・介護休業法では、「労働者が介護休暇を取得中には給与を支払わなければならない」のような決まりはありません。そのため、有給休暇のように介護休暇を取得したときにも給与を支払うかどうかは会社の自由です。

    大企業では有給扱いにする会社もあるようですが、中小企業では無給とするところが多いようです。ただ、仕事と介護の両立をがんばる労働者を支援する姿勢を示すためにも、無理のない範囲で福利厚生的な意味合いを兼ねていくらか手当を支給することがのぞましいでしょう。

  4. (4)選択的措置の付与

    企業は、要介護状態にある家族・親族を介護している労働者に対し、以下のいずれかの措置を講じなければならないとされています。

    • 短時間勤務等の措置(所定労働の短縮)
    • フレックスタイム制度
    • 始業・終業時間の繰り上げ・繰り下げ(時差出勤)
    • 介護サービス費用の助成など
  5. (5)所定外労働や時間外労働の制限・免除

    要介護状態にある家族・親族を介護している労働者が介護のために申請した場合、会社側は所定外労働を免除しなければなりません。また、時間外労働についても、労働者が申請した場合は1か月について24時間、1年について150時間を超える時間外労働をさせてはならないとされています。

    所定外労働・時間外労働の制限や免除ができる期間は、1回の申請につき1か月以上1年以内の期間で、回数に制限はありません。開始の1か月前までに書面等で請求させるようにします。ただし、事業の正常な運営を妨げる場合は、会社側は労働者からの請求を拒むこともできます。

5、まとめ

仕事と介護を両立するためには、介護休暇をはじめとする制度は必要不可欠なものです。優秀な人材を確保するためにも、会社側は積極的に休暇を取得しやすいような制度設計を行う必要があるでしょう。

就業規則などどのように整備すればよいかわからない場合は、ベリーベスト法律事務所 町田オフィスまでご相談ください。企業法務の経験豊富な弁護士が、その企業の業態・業種に合った制度設計をご提案します。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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