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駅や車内の非常停止ボタンをいたずらで押すことは法律違反?

2023年07月06日
  • 一般民事
  • 非常停止ボタン
  • 法律
駅や車内の非常停止ボタンをいたずらで押すことは法律違反?

町田市のデータによれば、令和3年に町田市内で発生した刑法犯の認知件数は1947件でした。平成26年の認知件数は3778件であったため、7年間でほぼ半減したことになります。

駅のホームに設置された非常停止ボタン(非常停止機器、非常停止装置)をいたずら目的で押すと、犯罪の責任を問われる可能性があります。もし非常停止ボタンのいたずらでご家族が逮捕されてしまった場合には、早期の身柄解放を実現するため、お早めに弁護士までご相談ください。

本コラムでは、いたずら目的で電車の非常停止ボタンを押した場合の法律的な責任や、逮捕された場合における刑事手続きの流れなどについて、ベリーベスト法律事務所 町田オフィスの弁護士が解説します。

1、非常停止ボタンはどんな場合に押すべきなのか?

非常停止ボタンは、電車を緊急停止させるため、各ホームや車両内に設置されています。
原則として安全面に関わる緊急事態が発生した際に限って押すべきものであり、それ以外の場合に押してはいけません。

  1. (1)線路内に人が転落した場合はすぐに押す

    線路内に人が転落したことを発見した場合は、ただちに非常停止ボタンを押しましょう
    人命優先のため、押すことをためらう必要はありません。

    なお、非常停止ボタンを押した後に、転落者を救助しようと線路に降りることは厳禁です。
    電車はすぐに停止できないため、救助しようとした方が進入してきた電車にひかれるなどの被害にあうおそれがあります。

  2. (2)線路内に物を落とした場合は?

    線路内に物を落とした場合、緊急停止ボタンを押すべきかどうかは、落とした物の種類や場所によります。

    財布やアクセサリーなどの小物を落とした程度であれば、列車の安全な運行に支障をきたす可能性はほぼないため、非常停止ボタンを押すべきではないといえます。
    このような場合は、非常停止ボタンを押さずに駅員を呼んで、落とした物を拾ってもらいましょう。

    これに対して、キャリーケースやベビーカーなどの大きな物や、傘や鉱物など脱線を引き起こす可能性がある物を落とした場合には、電車の安全な運行に支障が生じるおそれがあるため、ためらわずに非常停止ボタンを押しましょう

2、いたずら目的で非常停止ボタンを押したらどうなる?

いたずら目的で非常停止ボタンを押すと、偽計業務妨害罪や威力業務妨害罪に問われるおそれがあるほか、鉄道会社から損害賠償を請求される可能性もあります。

  1. (1)偽計業務妨害罪・威力業務妨害罪に問われる

    偽計業務妨害罪と威力業務妨害罪は、どちらも、他人の業務を妨害した場合に成立する犯罪です。

    偽計(人を欺くこと、または錯誤・不知を利用すること)を用いた場合には偽計業務妨害罪が、威力(人の自由意思を制圧するに足る勢力)を用いた場合には威力業務妨害罪が成立します(刑法第233条、第234条)。

    法定刑はどちらも「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」であり、非常停止ボタンが押された状況によって、いずれかの犯罪の責任を問われる可能性があります。

  2. (2)鉄道会社から損害賠償を請求される

    非常停止ボタンを押したことにより、鉄道会社に何らかの損害が生じた場合には、ボタンを押した人は鉄道会社から損害賠償請求を受ける可能性があります。

    たとえば、鉄道会社が対応に要した人件費や、振り替え輸送が発生した場合には、その費用などが鉄道会社にとって損害にあたります。
    状況によっては、損害額が数百万円から数千万円に及ぶこともあり、多額の損害賠償請求を受けるおそれもあるのです

3、非常停止ボタンのいたずらで逮捕された場合の刑事手続きの流れ

非常停止ボタンのいたずらで逮捕されてしまった場合には、以下のような流れで刑事手続きが進行します。

  1. (1)逮捕・起訴前勾留

    逮捕期間は最長72時間(3日間)で(刑事訴訟法第205条第2項)、逮捕期間満了までに検察官が裁判官に対して、勾留請求を行うかどうかを判断します
    検察官が勾留請求を行い、裁判官が被疑者による罪証隠滅または逃亡のおそれを認めた場合、勾留状が発行されて起訴前勾留に移行します。
    起訴前勾留の期間は最長20日間です(同法第208条)

    逮捕期間満了までに勾留状が発行されなかった場合には、その時点で被疑者は釈放されます。
    ただし、釈放されても捜査が終了するとは限らず、在宅で捜査が続けられる場合もあります。

  2. (2)検察官による起訴

    被疑者が勾留された場合、勾留期間が満了するまでに、検察官が被疑者を起訴するかどうか判断します。
    これに対して、被疑者が勾留されていない場合には起訴の期限は設けられていないため、適宜のタイミングで検察官が起訴か不起訴かを判断します。

    嫌疑がない場合や嫌疑が不十分である場合は不起訴となります。
    また、嫌疑が十分である場合も起訴されるとは限りません。
    犯罪が軽微なものであり、被疑者が十分に反省している場合などには、嫌疑があっても不起訴(起訴猶予)となることがあります。
    いたずらで非常停止ボタンを押したケースでは、具体的な被害が発生していない限り、きちんと反省すれば不起訴となる可能性が高いでしょう

    起訴か不起訴かを判断するのは検察官であるため、不起訴処分により早期に身柄を解放してもらうためには、検察官に反省の態度などをアピールすることが重要になります。

  3. (3)起訴後勾留

    被疑者が起訴された場合、起訴前勾留から起訴後勾留へと移行し、被疑者は被告人と呼ばれるようになります。
    起訴後勾留の期間は2か月ですが、1か月ごとに更新が認められています(刑事訴訟法第60条第2項)

    なお、起訴後勾留期間中については、起訴前勾留とは異なり、一時的に身柄を解放する「保釈」が認められることがあります(同法第89条、第90条)。
    保釈の際には、保釈保証金を預けなければなりません。
    保釈保証金の金額は、標準的には150万円~300万円程度となっています

  4. (4)公判手続き・判決

    起訴された被告人の刑事処分は、裁判所で行われる公判手続きで決定されます。
    公判手続きでは、検察官が被告人の犯罪事実の立証を行い、被告人(弁護側)がそれに対する反論を行います。
    犯罪事実に争いがない場合には、量刑が争点となります。

    審理が熟したら、裁判所は、被告人が有罪であるか無罪であるか、有罪である場合には量刑に関する判決を言い渡します。

    有罪判決には、実刑判決と執行猶予付判決があります。
    再犯でなければ、3年以下の懲役・禁錮または50万円以下の罰金を言い渡す場合に限り、執行猶予を付すことが認められています(刑法第25条第1項)

  5. (5)控訴・上告

    判決に不服がある場合、検察官・被告人は高等裁判所に控訴することができます。
    さらに、高等裁判所の判決に不服がある場合は、最高裁判所への上告が認められています。
    控訴・上告の期間は、判決の言い渡しから14日間です(刑事訴訟法第373条、第414条)。
    期間内に適法な控訴・上告が行われなかった場合、または上告審の判決が言い渡された場合に、判決が確定します。

    実刑判決の場合は、判決確定後に刑が執行されます。

4、逮捕された場合に弁護士がサポートできること

もしご自身やご家族が、非常停止ボタンを押してしまったことが原因で逮捕されてしまった場合には、ただちに弁護士に連絡してください。

  1. (1)不起訴に向けた弁護活動

    いたずら目的で非常停止ボタンを押したケースにおいては、具体的な被害が発生しておらず、過去にも同様のいたずらを繰り返す常習犯でもないという状況であれば、きちんと反省すれば不起訴処分となる可能性は高いといえます。

    弁護士に依頼すれば、被疑者にとって有利な事情とあわせて被疑者が反省していることも被告人に訴えて、不起訴処分を目指すための弁護活動を行うことができます

  2. (2)公判手続きの準備・対応

    もし検察官に起訴されてしまった場合には、言い渡される判決をできる限り軽くするために、公判手続きに向けた準備が必須になります

    弁護士は、被疑者の反省の態度を訴えるとともに家族の協力が得られることについても説得的なアピールを行うなど、寛大な判決の獲得を目指すためのさまざまな対応をとることができます。

  3. (3)家族との窓口

    被疑者として身柄を拘束されてしまった方は、ご家族と自由にやり取りすることができなくなります。
    ご家族との面会時間は限られるほか、自由に物を受け渡すこともできなくなるため、心細さを感じてしまうでしょう。

    弁護士は時間を問わず自由に接見できるため、被疑者となられた方を精神的に支えることができます
    また、ご家族とのコミュニケーションをとるための窓口も担当できます。
    逮捕されてしまった方を精神的に支えるためにも、もしご家族が逮捕されてしまったら、できるだけ早く弁護士に連絡することをおすすめします。

5、まとめ

非常停止ボタンをいたずらで押した場合、鉄道会社から損害賠償を請求される可能性があるほか、偽計業務妨害罪や威力業務妨害罪によって逮捕されて刑事罰を受けるおそれもあります。
しかし、具体的な被害が発生していないような事例であれば、きちんと反省していることをアピールすれば、不起訴処分となる可能性も十分にあります。
不起訴を目指すため、ご自身やご家族が逮捕されてしまったら、速やかに弁護士に連絡しましょう。

ベリーベスト法律事務所では、刑事事件で逮捕されてしまったご本人やご家族からのご相談を随時受け付けております
非常停止ボタンを押したことに関してご自身やご家族が捜査の対象になってしまった場合は、まずはベリーベスト法律事務所にご連絡ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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