離婚の慰謝料は、減額や支払い不要などの交渉はできるのか? 弁護士が解説
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平成30年の人口動態調査(東京都)によると、町田市では665組が離婚に至っています。
夫婦のどちらかが離婚の原因を作った場合は、離婚の原因を作った方が慰謝料を請求されることがしばしばございます。しかし、できることなら慰謝料を支払わずに済ませたい、もしくはあまりに高額なので減額してもらいたいと考える方も少なくありません。
ここでは慰謝料の減額について、ベリーベスト法律事務所 町田オフィスの弁護士が解説いたします。
慰謝料の減額を検討している方はぜひご一読ください。
1、慰謝料とは? 慰謝料を支払わなくてよいケースはある?
離婚の慰謝料は、離婚の原因を作った側が相手に対して支払う必要があるお金です。ここでは、慰謝料の概要や、慰謝料を支払う必要のないケースについて説明します。
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(1)離婚の慰謝料とは
離婚の慰謝料は、離婚の原因を作った人が支払うものです。例えば、夫が不倫をして離婚する場合、妻から慰謝料を請求されれば、夫が妻に慰謝料を支払うことになります。また、不倫をした配偶者および不倫相手にも請求可能です。
不貞行為以外にも、DVやモラハラ、生活費を支払わない等の夫婦としての責任を放棄したような行為があった場合も慰謝料を支払わなくてはなりません。 -
(2)慰謝料を支払わなくてもよいケース
ここでは、慰謝料を支払わなくてもよいケースについて解説いたします。
●不貞行為やDVなどの証拠がない場合
慰謝料は離婚の原因を作った者が支払わなくてはなりません。もっとも、慰謝料の請求に応じない相手に、慰謝料を払わせるためには、請求の根拠となる「証拠」が求められます。例えば不貞行為の場合、「肉体関係があったこと」を証明する必要があります。具体的には、配偶者と不貞相手が二人でラブホテルに入った写真など性交渉があったことを窺わせる証拠がなければ、慰謝料を強制的に払わせることが困難になります。
つまり、相手が不貞行為の証拠を持っていなければ、「不貞行為はしていない」と言い切った場合、結果としては、慰謝料の支払いを免れる可能性があります。
●相手にも落ち度がある場合
あなただけでなく、相手に落ち度がある場合も慰謝料を支払わなくてよい可能性があります。例えば、相手も不貞行為をしていた場合や、相手の暴力などがあった場合です。ただし、証拠がなければ認められませんので、相手に落ち度がある場合は証拠を確保しておきましょう。
●性格の不一致等の「お互いに落ち度があるケース」
性格の不一致で離婚する場合、どちらが悪い・よいと判断することはできません。性格が合わなかっただけで特に法を犯しているわけではないためです。過去の裁判例でも性格の不一致で慰謝料を認めた例はほとんどありません。したがって、性格の不一致が原因で離婚する場合は、慰謝料の請求には応じない対応をとるべきです。
2、離婚慰謝料を減額できるケース
自分の不貞行為などが原因で離婚する場合、相手から慰謝料を請求される可能性があります。それを受け入れて、請求額をすべて支払うことに同意すれば協議離婚は成立するでしょう。しかし、その後の自分自身の生活を考えて、できるだけ慰謝料を減額したいと考える方もいらっしゃるでしょう。その場合はどのようにすればいいのでしょうか。ここでは、離婚慰謝料を請求された場合にどれだけ減額できるか、その可能性について説明します。
以下のような場合は、慰謝料を減額できる可能性があります。
●相手が相場以上の慰謝料を請求された場合
慰謝料には、過去の判例に基づいた「相場」が存在します。相場を超えた金額を請求された場合は、平均的な金額に減額できる可能性があります。
●相手にも原因がある場合
相手があなたの不貞行為を理由に慰謝料を請求してきた場合、例えば、数年にわたって相手が性交渉を拒否してきて夫婦仲が冷え切っていたなどの事実があれば、多少なりとも離婚に至る原因が相手にもあると考えられて、慰謝料を減額できる可能性があります。
●素直に謝罪する
慰謝料を請求する方の多くは、配偶者の態度やしたことに大きな怒りを感じています。そのため、誠心誠意謝罪することを条件に慰謝料の減額交渉が可能になる場合もあります。
●自分の収入や資産が少ない
ご自身の収入や資産が少ない場合、誠意を持って慰謝料を支払うことを相手に伝えた上で、「○○万円までなら支払うことが可能」と明確な金額を伝えると、慰謝料を減額できる可能性があります。ただし、収入や資産がないからと言って、支払わなくて良いということではありません。
3、離婚慰謝料を減額交渉するときの手続きの流れについて
次に、慰謝料の減額交渉の手続きの流れを解説いたします。
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(1)協議離婚での慰謝料の減額交渉
離婚する際にはいきなり調停や裁判に入ることはありません。まずは協議離婚という双方の話し合いからスタートします。ただし、慰謝料を請求されている場合は、当事者同士ではなく弁護士を介して話し合うことをおすすめします。あなたに何らかの落ち度がある場合、「慰謝料を減額してほしい」とは言いづらいでしょうし、そんなことを言ったらさらに相手の心証を悪くさせてしまいます。
しかし、弁護士という第三者が入ることで冷静に話し合いを進めることができます。弁護士に早い段階で相談することで、相手の落ち度探しなど、減額交渉に必要な材料を的確に集めることも可能です。 -
(2)離婚調停
話し合いで解決できない場合は、裁判所に離婚調停を申し立てることになります。離婚調停はどちらでも申し立てることが可能です。
離婚調停では夫婦の双方が調停員を介して話し合いを進めるので、顔を合わせる必要はありません。
お互いに慰謝料の条件や支払額、支払い方法などにおいて合意に至った場合は調停成立となり、あとはその取り決めに沿って支払いを進めることになります。合意しなければ、訴訟に進みます。 -
(3)離婚裁判
離婚調停で解決できない場合は、離婚裁判で争うことができます。この場合は慰謝料の請求をする側が訴訟するのが一般的です。訴訟となった場合は、慰謝料は平均的な額しか認められないことがほとんどなので、法外な慰謝料を請求されている場合は、減額される可能性が高いでしょう。
4、離婚慰謝料の減額交渉を弁護士に依頼するメリット
次に慰謝料の減額交渉を弁護士に依頼するメリットについて解説します。
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(1)慰謝料の相場がわかる
離婚の慰謝料は、個別の状況に合わせて判断されるため、個人の方が知ることは難しいものです。弁護士であれば、ご相談者様の状況を聞いた上で、過去の判例も参照し、適切な慰謝料を算定することが可能です。
相場よりも高額であれば、それだけで減額の可能性が高まりますし、相場の範囲内であれば減額できる要素を前もって探すことができます。 -
(2)慰謝料を減額できる可能性が上がる
慰謝料の減額交渉は、当事者同士ではほぼ不可能な交渉です。落ち度がある側から減額を請求すれば、事態は収束するどころか、さらに相手の怒りが増して収集不可能になる可能性があるでしょう。
しかし、弁護士が冷静に交渉することで、相手の請求金額が高額であれば支払いが困難であること、もしくは慰謝料を受け取れない可能性があることを、理解してもらえる可能性があります。
また、それでも相手が認めない場合は調停や訴訟などに持ち込むことで、相場の慰謝料に減額することが可能です。 -
(3)減額交渉を一任できる
離婚は、非常に労力を要します。財産分与や親権などさまざまな決定を下さなければならない上に、最悪の場合、双方の感情が前面に出て、話が全く進みません。
場合によっては、ストレスで仕事や私生活に大きな影響を与えてしまう可能性があります。
しかし、弁護士に一任することで、離婚問題のほとんどから少し身を遠ざけることができます。相手と交渉をする必要もありませんし、直接相手と話し合いを行うことによるストレスを感じることもありません。
なるべく早く身も心もリフレッシュして新生活を始めるためにも、弁護士に依頼するのがベストと言えるでしょう。
5、まとめ
離婚の慰謝料の減額交渉は、ご自身で行うよりも弁護士にまかせたほうがスムーズに進みます。当事者同士が顔を合わせると、どうしても感情が先に立ってしまうためです。弁護士であれば、調停や訴訟などを見越して、力強く交渉ができますので、相手の過大な要求を拒否することも可能です。
離婚の慰謝料でお困りの方は、ベリーベスト法律事務所 町田オフィスへご相談ください。あなたの状況に最適な解決方法をアドバイスします。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています