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未払いの養育費にも遅延損害金は発生する? 回収する方法は?

2023年09月05日
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未払いの養育費にも遅延損害金は発生する? 回収する方法は?

養育費が未払いとなった場合、支払い遅延の期間に応じて遅延損害金(延滞金)を請求できます。

遅延損害金を含めて、未払いとなっている養育費の全額を回収したい場合には、強制執行を申し立てることや訴訟を起こすことも検討しましょう。

本コラムで、養育費の遅延損害金や、未払いの養育費を回収する際の注意点などについて、ベリーベスト法律事務所 町田オフィスの弁護士が解説します。

1、遅延損害金とは? 養育費未払いの場合も発生する?

金銭債務が不履行となった場合、債権者は債務者に対して「遅延損害金」を請求することができます。
養育費の支払いも金銭債務の一種であるため、養育費が未払いとなった場合には、権利者は義務者に対して遅延損害金を請求することができるのです。

  1. (1)遅延損害金=支払い遅延の損害賠償金

    遅延損害金とは、金銭債務の支払い遅延に関する損害賠償金を意味します

    債務不履行によって債権者に損害が生じた場合、債務者は本来の債務の履行に加えて、債権者の損害を賠償しなければなりません(民法第415条第1項)。
    金銭債務の支払い遅延の場合には、支払いを受けられなかったことによる運用益(逸失利益)が損害にあたると考えられます。

    債務不履行による債権者の損害額は、原則として、個別具体的な事情に応じて計算されます。
    しかし、金銭債務については、金銭の汎用性の高さを考慮して債権者による主張や立証をシンプルにするため、損害賠償額について特別のルールが定められています(民法第419条第1項)。
    金銭債務の不履行につき、この特別のルールに従って計算される損害賠償額が、とくに「遅延損害金」と呼ばれているのです。

  2. (2)養育費未払いの場合も遅延損害金が発生する

    養育費の支払いも金銭債務の一種であるため、未払いになったら遅延損害金が発生します

    後述するように、離婚時に養育費の遅延損害金について合意をしていなくても、民法の規定に従って遅延損害金が発生するのです。

2、養育費の遅延損害金の利率は?

養育費の遅延損害金の利率は、金銭債務の不履行に関する損害賠償額について特別のルールを定めた、民法第419条に従います。

  1. (1)約定がある場合|約定利率に従う

    元夫婦の間で養育費の支払いを合意した際、養育費の遅延損害金の利率を定めた場合には、その利率に従って遅延損害金額が計算されます(民法第419条第1項但し書き)。
    元夫婦の合意によって定められた遅延損害金の利率は、「約定利率」と言います。

    養育費の遅延損害金の約定利率には、とくに法令上の上限は存在しません。
    金銭消費貸借契約に基づく債務ではないため、利息制限法の上限利率も適用されないのです。
    ただし、あまりにも高率の遅延損害金を定めた場合には、公序良俗違反(民法第90条)によって無効となる可能性があります

  2. (2)約定がない場合|法定利率に従う

    養育費の遅延損害金について、元夫婦の間で特段の合意がない場合には、「法定利率」に従って遅延損害金が計算されます(民法第419条第1項本文)。

    法定利率は3年ごとに、一定のルールに従って変動します(民法第404条第3項~第5項)。
    最近の見直しのタイミングは2023年4月1日であり、前年までに引き続き年3%となっています

  3. (3)養育費の遅延損害金の計算方法

    養育費の遅延損害金は、以下の式によって計算されます。

    遅延損害金額
    =未払い養育費の金額×年利率×未払い期間の日数÷365日(閏年の場合366日)


    たとえば、以下のような例に基づいて考えてみましょう。

    <設例>
    • 2022年4月30日までに支払うべき養育費5万円が、2022年7月12日(73日後)に支払われた。
    • 養育費の遅延損害金の利率は、とくに合意していなかった。


    上記の設例では、遅延損害金の利率として、法定利率の年3%が適用されます。
    未払い額は5万円、未払い期間は73日間のため、養育費の遅延損害金額は以下のとおりです。

    遅延損害金額
    =5万円×3%×73日÷365日
    =300円


    養育費は、基本的に毎月支払いが発生します。
    そのため、何か月も養育費の支払いが滞った場合、未払い養育費そのものの金額とともに、遅延損害金の総額もどんどん高額になっていくのです

  4. (4)養育費の遅延損害金に関する、権利者に有利なルール

    金銭債務である養育費の支払いが滞った場合、民法に基づいて、遅延損害金に関して権利者に有利なルールが適用されます。

    ① 損害の証明が不要
    債務不履行の損害額については、本来であれば債権者による立証が必要です。

    しかし、金銭債務である養育費については、損害額が約定利率または法定利率によって自動的に計算されるため、損害の証明は不要とされています(民法第419条第2項)。

    ② 義務者は不可抗力を抗弁とすることができない
    債務不履行の損害賠償責任が発生するのは、原則として債務者の帰責性が認められる場合に限られます(民法第415条第1項但し書き)。
    債務者の責によらない不可抗力によって不履行が生じた場合、債務者は債権者に対する損害賠償責任を負わないのが原則です。

    しかし、金銭債務である養育費の場合、期日どおりに支払わなかったことについて、義務者は不可抗力を抗弁とすることができません(民法第419条第3項)。
    したがって、養育費の未払いがどのような理由によるものであっても、権利者は義務者に対して遅延損害金を請求できます。

3、養育費が未払いとなった場合の対処法は?

養育費が未払いとなった場合、最終的には強制執行の手続きを通じて回収を図ることになります。

  1. (1)債務名義がある場合|強制執行の申し立てが可能

    養育費の支払いについて、すでに債務名義を取得している場合には、スムーズに強制執行を申し立てることができます。

    債務名義とは、強制執行の申し立てに必要となる公文書を意味します(民事執行法第22条)。

    養育費の強制執行に関して、債務名義にあたる書類は、主に以下のとおりです。

    • 公正証書(強制執行認諾文言が記載されたものに限る)
    • 調停調書
    • 審判書
    • 確定判決
    • 仮執行宣言付判決
    • 仮執行宣言付支払督促
    など


    これらの債務名義をすでに持っている場合には、弁護士に依頼したうえで強制執行を申し立てることを検討してください

  2. (2)債務名義がない場合|訴訟などを経て強制執行を申し立てる

    養育費の支払いについて、元夫婦が自分で書面を作成したり、口頭で合意したりしたために、債務名義がないケースもあります。
    債務名義がない場合は、強制執行を申し立てる前に、まず債務名義を取得しなければなりません。

    養育費の支払い自体をすでに合意している場合には、裁判所に支払督促を申し立てるか、または訴訟を提起することを検討してください。
    養育費の支払いに関する合意内容が曖昧な場合や、合意内容の立証が難しい場合には、裁判所に養育費調停を申し立てるのがよいでしょう

4、未払いの養育費請求権の消滅時効に要注意

未払いとなった養育費を長期間回収せずにいると、消滅時効が完成して回収できなくなってしまうリスクがある点に注意しましょう。

  1. (1)養育費請求権の消滅時効期間

    養育費請求権の消滅時効期間は、以下のとおりです。

    ① 訴訟の判決・裁判上の和解・調停・審判で養育費が確定した場合
    支払期日から10年(民法第169条第1項)

    ② それ以外の場合(公正証書で定めた場合、当事者同士で合意した場合など)
    支払期日から5年(民法第166条第1項第1号)


    上記の期間が過ぎると消滅時効が完成し、義務者が消滅時効を援用した場合には、権利者は未払いの養育費を回収できなくなってしまいます

  2. (2)消滅時効の完成を阻止する方法

    養育費請求権の消滅時効完成を阻止するためには、以下のいずれかの手続きを取る必要があります。
    確実に消滅時効の完成を阻止したい場合には、弁護士にご相談ください。

    ① 時効の完成猶予
    消滅時効期間が経過しても、時効の完成を猶予する手続きです。
    (例)
    • 裁判上の請求
    • 支払督促
    • 和解
    • 調停
    • 倒産手続参加
    • 強制執行
    • 担保権の実行
    • 競売
    • 財産開示手続
    • 第三者からの情報取得手続
    • 仮差押え、仮処分
    • 内容証明郵便などによる履行の催告(6か月間のみ)
    • 協議の合意

    ② 時効の更新
    消滅時効期間をリセットする手続きです。
    • 裁判上の請求、支払督促、和解、調停、倒産手続参加による権利の確定
    • 強制執行、担保権の実行、競売、財産開示手続、第三者からの情報取得手続の終了
    • 権利の承認

5、まとめ

養育費が未払いとなった場合、遅延損害金と併せて早期に回収できるように、早い段階から弁護士に相談することをおすすめします

依頼を受けた弁護士はさまざまな法律的手段を駆使しながら、養育費の債権回収を早期に実現するために尽力いたします。
また、相手から養育費の減額交渉を持ちかけられている場合にも、弁護士が依頼者に代わって、毅然(きぜん)とした対応を行います。

ベリーベスト法律事務所は、養育費の債権回収に加えて、財産分与や婚姻費用などに関するご相談も幅広く受け付けております。
離婚に関してトラブルが発生した場合には、まずはベリーベスト法律事務所にご連絡ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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