連帯保証人として請求された借金を返済できない! 返済義務と対処法
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家族や友人などから頼まれて借金の連帯保証人になると、借金をした本人(主債務者)と同等の責任を負うことになります。そのため、主債務者が借金の返済ができなくなると、連帯保証人が返済をしなければなりません。
このように連帯保証人は非常に重い責任を負うことになりますので、安易に引き受けるのは避けた方がよいでしょう。もしすでに連帯保証人になってしまったという場合には、債権者と分割払いの交渉をしたり債務整理をしたりするなどの方法で対処しましょう。
本コラムでは、連帯保証人が債権者から借金の返済を求められた場合の責任と対処法について、ベリーベスト法律事務所 町田オフィスの弁護士が解説します。
1、連帯保証人と保証人の違い
連帯保証人とは、借金をした本人(主債務者)が借金の返済をしない場合に、債務者に代わって借金の返済義務を負う人のことをいいます。
連帯保証人も保証人も主債務者に代わって借金の返済義務を負うという点では共通していますが、連帯保証人には保証人に認められている「催告の抗弁権」、「検索の抗弁権」、「分別の利益」がないという点で、保証人よりも重い責任を負っているのです。
催告の抗弁権とは、保証人が債権者から借金の返済を求められたときに、自分よりも先に主債務者に請求してほしいと主張することができる権利です。
保証人から催告の抗弁権が行使された場合には、債権者は、主債務者に支払い能力がないことを確認してからでないと保証人に対して借金の返済を求めることができません。
他方で、連帯保証人には催告の抗弁権はありません。
したがって、債権者から借金の返済を求められた場合には、直ちに応じなければならないのです。
② 検索の抗弁権
検索の抗弁権とは、保証人が債権者から財産の差し押さえをされそうになったときに、自分よりも先に主債務者の財産を差し押さえてほしいと主張することができる権利です。
保証人が検索の抗弁権を行使して、主債務者に財産があることを証明した場合には、債権者は保証人の財産を差し押さえることができなくなります。
他方で、連帯保証人には検索の抗弁権もありません。
したがって、債権者からの強制執行を排除することもできないのです。
③ 分別の利益
分別の利益とは、複数の保証人がいる場合に、保証人の頭数で割った金額のみを負担すればよいことをいいます。
たとえば保証人が3人いる場合には、各保証人が負う責任は3分の1ずつになりますので、分別の利益によって1人あたりの負担は少なくて済みます。
しかし、連帯保証人には分別の利益もありません。
そのため、連帯保証人が複数人いたとしても、各連帯保証人は全額の債務を負担しなければならないのです。
2、連帯保証人は借金の返済義務を逃れられないのか?
以下では、連帯保証人になってしまった場合に借金の返済義務を逃れることができるかどうかについて解説します。
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(1)連帯保証人は主債務者と同等の責任を負う
連帯保証人には、保証人に認められている催告の抗弁権、検索の抗弁権、分別の利益がありませんので、主債務者とほぼ同等の責任を負うことになります。
そのため、主債務者が返済を滞った場合には債権者から連帯保証人に請求がされることになり、連帯保証人は債権者からの請求を拒むこともできないのです。
このように、連帯保証人には非常に重い責任があります。
そのため、友人や知人から連帯保証人を頼まれたとしても、安易に連帯保証契約に応じないようにしましょう。 -
(2)借金の返済ができなかった場合のリスク
上記のとおり、連帯保証人は借金の返済義務を逃れることができないため、主債務者の借金額や連帯保証人の経済の状況によっては、連帯保証人も借金の返済ができないことがあります。
もし連帯保証人が借金の返済をできなかった場合には、以下のようなリスクが生じます。① 財産を差し押さえられる
連帯保証人が借金の返済ができなかった場合には、債権者によっては提訴した後、強制執行の申立てがなされて、連帯保証人名義の財産が差し押さえられてしまいます。
給料、預貯金、不動産などが差し押さえの対象になるため、連帯保証人の生活にとって大きな打撃となるでしょう。
② ブラックリストに載る
連帯保証人が借りたお金ではないものの、連帯保証人が債権者に返済できなかった場合には、連帯保証人もブラックリストに載ることになります。
ブラックリストとは、信用情報機関に事故情報登録された状態のことをいいます。
ブラックリストに載ると、新規の借り入れができない、クレジットカードの申し込みができない、などの不利益が生じます。
3、連帯保証人として借金の返済義務を負った場合の対処法
連帯保証人として借金の返済義務を負った場合には、以下のような方法で対処することを検討しましょう。
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(1)債権者と分割払いの交渉をする
主債務者が借金の返済を滞った場合には、期限の利益を喪失して、残債務の一括請求がなされます。
債権者が連帯保証人に請求する場合も、同様に一括請求がなされるのが一般的です。
しかし、借金の金額によっては連帯保証人でも一括で返済することができないことがあります。
そのような場合には、債権者との交渉によって分割払いに応じてもらえるように求めていくことになるのです。 -
(2)一括請求に応じてから求償権を行使する
債権者からの請求額が連帯保証人の支払える金額であった場合には、一括返済を行ったうえで、主債務者に求償権を行使するという方法もあります。
求償権とは、主債務者に代わって借金を支払った保証人が主債務者に対して支払った分のお金を返すように求める権利のことをいいます。
連帯保証人は、求償権を行使することによって、自分が支払ったお金を回収することができます。
もっとも、連帯保証人のもとに債権者から請求が来ている状況では、通常の場合は、主債務者には、求償権に応じて支払うだけの資力がないでしょう。
そのため、主債務者からお金を回収することは現実的とはいえません。
また、主債務者が自己破産をしてしまうと求償権を含めたすべての債権が免除されてしまうため、返済を求めることはできなくなります。 -
(3)債務整理の手続きを行う
債権者との交渉では分割払いに応じてもらえない場合や一括払いができないという場合には、連帯保証人が債務整理をすることによって、連帯保証債務の負担を軽減することができます。
債務整理の主な方法は、以下の三種類です。① 任意整理
任意整理とは、債権者との交渉によって、将来利息をカットしてもらったうえで返済方法を見直す方法です。
任意整理では、債務整理の対象にする債権者を自由に選択することができるため、他に借金やローンがあったとしても、それらを除外して連帯保証人としての債務のみを対象に債務整理をすることができます。
ただし、任意整理では、後述する自己破産や個人再生のような大きな減額は期待できません。
② 自己破産
自己破産とは、裁判所から免責決定を受けることによって、すべての借金の返済義務を免除してもらうことができる方法です。
多額の借金があったとしても基本的にはすべて免除されますので、債務整理の手続きの中ではもっとも効果的な方法といえます。
ただし、自己破産をする場合には、一定の金額以上の財産はすべて手放さなければなりません。
自宅、車、退職金、保険など高額な資産を有している方にとっては失うものも大きいという点がデメリットとなります。
③ 個人再生
個人再生とは、裁判所から再生計画の認可を受けることによって、借金の総額を大幅に減額してもらうことができる方法です。
減額後の借金は原則3年(最長5年)での分割払いで返済をしていくことになりますので、当初の借金返済に比べると大幅に負担が軽減されます。
また、個人再生では、自己破産のように財産を手放す必要はないため、資産を手元に残しながら債務整理を行うことができるのです。
4、連帯保証人が借金問題に悩んだら弁護士へ相談を
連帯保証人になってしまったことから借金問題に悩まれている方は、弁護士に相談をすることをおすすめします。
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(1)最適な解決方法を提案してもらえる
連帯保証人は、主債務者と同等の責任を負うことになりますので、主債務者が何らかの理由で返済できない状況になってしまった場合には連帯保証人が借金を返済していかなければなりません。
連帯保証人自身も生活が苦しく返済できない状況である場合には、債務整理によって借金の負担を軽減することが可能です。
ただし、債務整理の方法には、三種類のそれぞれにメリットとデメリットがあるため、適切な方法を選択することが大切です。
法律の専門家である弁護士であれば、個別具体的な状況に応じて、最適な解決方法をアドバイスすることができます。 -
(2)債権者との対応を任せることができる
任意整理、自己破産、個人再生のうちいずれの方法を選択するにしても、債権者との交渉はほぼ必ず行わなければいけません。
弁護士は依頼者に代わって窓口の各債権者との交渉を行うことができるため、弁護士に依頼すれば債権者との対応や交渉に関する負担も大幅に軽減されます。
自己破産や個人再生をする場合には裁判所への申立ても必要になりますが、そのような複雑な手続きもすべて弁護士に任せることができるでしょう。
5、まとめ
主債務者が借金を返済できない場合には、連帯保証人に請求がなされます。
連帯保証人は主債務者と同等の責任を負うことになるため、連帯保証人自身も借金が返済できない場合には、債務整理を検討する必要があります。
家族や知人の連帯保証人になったために借金の返済請求をされてしまった方は、まずはベリーベスト法律事務所にご相談ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
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