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労基法の管理監督者とは? 定義や判断基準、就業規則の変更を解説

2024年05月21日
  • 労働問題
  • 労基法
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労基法の管理監督者とは? 定義や判断基準、就業規則の変更を解説

2022年度に東京都内の総合労働相談コーナーに寄せられた労働に関する相談は17万4985件でした。

企業が、労基法(労働基準法)で定められている管理監督者の範囲を誤って理解していたために、両者の間でトラブルになるケースがあります。たとえば、管理監督者の地位に応じた待遇がとられていない「名ばかり管理職」にもかかわらず、労基法(労働基準法)上の労働時間・休憩・休日のルールを適用せず残業代(時間外労働の割増賃金など)の支払いもなされていないなどです。

管理監督者への誤った待遇は労働紛争のもとですので注意が必要です。本記事では労基法上の管理監督者について、ベリーベスト法律事務所 町田オフィスの弁護士が解説します。

出典:「個別労働紛争の解決制度等に関する令和4年度の施行状況を発表します」(東京労働局)

1、労基法(労働基準法)上の「管理監督者」とは?

労基法上の管理監督者とは、経営者と一体的な監督・管理の地位にある労働者をいいます。

  1. (1)管理監督者には労働時間・休憩・休日のルールが適用されない

    管理監督者に当たる労働者には、労働時間・休憩・休日のルールが適用されません(労働基準法第41条第2号)。

    管理監督者は経営者と一体的な立場にあるため、時間に縛られることなく随時経営上の意思決定などを行うことが求められます。このような職務の性質上、管理監督者は労働時間・休憩・休日に関する規制になじまないため、これらの規制の適用対象外とされています。

  2. (2)管理監督者と管理職の違い

    労基法上の管理監督者は、いわゆる「管理職」とは異なります。

    管理職は、部署において部下を管理・統括する労働者を指すのが一般的です。たとえば部長・課長・係長や店長などが管理職に当たります。

    労基法上の管理監督者は経営者と一体的な立場にありますが、管理職はそうとは限りません。むしろ、一般労働者と待遇や権限がほとんど変わらず、中間管理職としての役割を求められていることが多いでしょう。

    経営者と一体的な立場にない管理職は、労基法上の管理監督者には当たりません。職務・権限・待遇などの実態によりますが、課長・係長・店長などは管理監督者に該当しないケースが多いです。

    経営者と一体的な立場にない管理職を労基法上の管理監督者として取り扱い、残業代を支払わないなどの対応をすると、労働者との間でトラブルになるリスクがあるので注意が必要です。

2、労基法上の管理監督者の判断基準

労基法上の管理監督者に当たるのは、経営者と一体的な立場として監督・管理の地位にある労働者です。経営者と一体的な立場にあるかどうかは、以下の要素から総合的に判断されます。



  1. (1)職務内容が重要であること

    管理監督者が労働時間・休憩・休日の規制になじまないのは、これらの規制の枠を超えて活動せざるを得ないほど、会社にとって重要な職務を担っているからです

    具体的には、会社の業績を大きく左右する事項や緊急性の高い事項を含めて、経営上の意思決定に関与する立場であることが求められます。このような重要な職務を担っていない労働者は、管理監督者とはいえません。

  2. (2)重要な責任を負い、権限を有していること

    経営者から重要な責任や権限を委ねられているかどうかも、管理監督者に当たるかどうかの重要な判断基準です。具体的には、業務の進め方について幅広い裁量が与えられていること、部下の人事を自ら決定できること、統括する部署の業績が待遇に直結することなどが考慮要素となります。

    自らの裁量で行使できる権限が少なく、多くの事柄について上司の決裁を受ける必要がある場合や、上司の命令を部下に伝達する立場にすぎない場合は、管理監督者とはいえません。

  3. (3)勤務態様が労働時間の規制になじまないこと

    実際の勤務態様についても、労働時間の規制になじまないものであることが求められます。労働時間を厳格に管理した上で、その労働者の業務が円滑に行われるのであれば、管理監督者として労働時間の規制の対象外とする必要はないからです。

    一般の労働者と同様に定時が具体的に決められていて、その時間においては毎日労働することを求められている場合は、管理監督者とはいえません。

  4. (4)管理監督者にふさわしい待遇が与えられていること

    管理監督者に対しては、その職務内容や責任・権限の重要性に鑑み、その立場にふさわしい待遇が与えられていなければなりません。
    待遇が一般の労働者とほとんど変わらず、わずかな役職手当が付されているにすぎない場合は、管理監督者に当たらない可能性が高いと考えられます。

3、管理監督者を設置する場合の就業規則の定め方

会社において管理監督者を設置する場合は、就業規則にも管理監督者に関する規定を設けるのがよいでしょう。就業規則によって管理監督者の範囲や待遇を明確化すれば、労働者とのトラブルの予防につながります。

以下の条文例を参考に、自社の社内規定と整合した形で管理監督者に関する規定を就業規則に設けましょう。

第○条(管理監督者)
1. 管理監督者とは、次の職位にある者を指す。
(1)(職位名)
(2)(職位名)
……

2. 管理監督者については、第○章に定める労働時間、休憩および休日の規定は適用しない。

3. 管理監督者の待遇は、その職務内容、責任および権限の重要性にふさわしい水準とし、具体的には第○章および賃金規定の定めに従う。

4、「名ばかり管理職」に要注意|トラブルの予防策

管理監督者に関するルールを誤って適用した結果、いわゆる「名ばかり管理職」の問題が生じている会社が多数見受けられます。

「名ばかり管理職」に関するトラブルを予防するため、労働基準法に関する正しい知識に基づいて労働者の待遇を決定しましょう。

  1. (1)「名ばかり管理職」とは

    「名ばかり管理職」とは、職務内容・責任・権限・待遇などに鑑みると一般の労働者にすぎないにもかかわらず、労基法上の管理監督者として取り扱われている者をいいます。

    典型的には、課長・係長・店長などの役職者(管理職)の中に「名ばかり管理職」が数多く見られます。
    これらの役職者は、単に中間管理職として部下の統括・管理を行っているに過ぎず、経営上の意思決定に関与することは通常ありません。また待遇についても、一般の労働者との間であまり差がないケースが多いです。

    上記のような労働者は、本来であれば労基法上の管理監督者に当たりません。しかし、残業代を支払わなくてよい、休日を与えなくてよいなど、会社にとって都合のよい面ばかりに注目し、不適切に労基法上の管理監督者として取り扱っている例がしばしば見られます。これが「名ばかり管理職」です。

    労働者を「名ばかり管理職」として取り扱うと、後に多額の未払い残業代を請求されるなど、労働者との間でトラブルになるリスクを負うので注意しなければなりません。

  2. (2)「名ばかり管理職」に関するトラブルの予防策

    「名ばかり管理職」に関する労働者とのトラブルを防ぐため、会社は以下の予防策を講じましょう。

    ① 管理監督者の定義・要件を正しく理解する
    管理監督者に当たる労働者の範囲を正しく定めるためには、労基法における管理監督者の定義・要件を正しく理解することが必須となります。

    ② 管理監督者性について労働者側と認識を共有する
    管理監督者として処遇する労働者との間では、職務内容・権限・責任・待遇に照らして、その処遇が妥当であることについて認識を共有しておくことが望ましいです。

    ③ 弁護士に相談する
    労働者を管理監督者として取り扱うことの妥当性や、管理監督者に関する就業規則の規定の定め方などについては、弁護士のアドバイスを受けることでトラブルのリスクを抑えられます。


    また、実際に管理監督者に関するトラブルが発生した場合は、速やかにベリーベスト法律事務所 町田オフィスの弁護士へご相談ください。トラブルの具体的な状況を踏まえて、会社の損害を最小限に抑えるために尽力いたします。

5、まとめ

管理監督者とは、経営者と一体的な監督・管理の地位にある労働者です。その職務内容・責任・権限の重要性に鑑みて、労働時間・休憩・休日の規制になじまないと考えられるため、これらの規制が適用除外とされています。

ただし、職務内容・責任・権限や待遇の観点からは管理監督者に当たらない労働者を、残業代を支払いたくないなどの理由で管理監督者として取り扱う企業が散見されます。これはいわゆる「名ばかり管理職」の状態で、労働者とのトラブルの原因になり得るので注意が必要です。

会社において管理監督者を設置する場合は、労基法上の要件を正しく理解した上で、その立場にふさわしい職務内容・責任・権限や待遇を与えましょう

ベリーベスト法律事務所 町田オフィスでは、人事・労務管理に関するご相談を随時受け付けております。管理監督者の取り扱いについて疑問点やお悩みがある際は、当事務所にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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