死亡後の手続きはどの順番で行うべき?|必要な手続きの一覧
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- 順番
東京都町田市の2023年1月1日時点の人口は43万831人で、そのうち65歳以上は11万7217人でした。
家族が亡くなった場合には、役所への届出や相続手続きなど、対応しなければならない手続きがたくさんあります。スケジュールを立てて、計画的に手続きを進めることが大切です。
本コラムでは、家族が死亡した後に行うべき手続きの順番や期限、または時期の目安などをベリーベスト法律事務所 町田オフィスの弁護士が解説します。
1、【死亡当日~7日目】死亡届の提出や葬儀関連の手続き
ご家族が亡くなった直後には、その事実を知った日から7日以内に「死亡届」を提出する必要があります。
死亡届の提出先は、以下のいずれかの市役所・区役所・町村役場です。
- 被相続人(亡くなった方)の死亡地
- 被相続人の本籍地
- 届出人の住所地
死亡届は、亡くなった方の親族や同居者などが提出できます。
また、届出を行う際には、医師が作成する死亡診断書または死体検案書の添付が必要です。
さらに、遺体の火葬にあたっては、市区町村役場に対して火葬許可申請を行い、「火葬許可証」の発行を受ける必要があります。
火葬許可申請は、葬儀会社に代行してもらえることもあります。
2、【7日目~14日目】住民登録・年金・保険等に関する手続き
葬儀等が済んだら、住民登録・年金・保険等に関する以下の手続きを速やかに行いましょう。
手続き | 窓口 | 期限 |
---|---|---|
受給権者死亡届(報告書)の提出 ※厚生年金(共済年金)の場合 |
年金事務所または街角の年金相談センター | 死亡後10日以内 |
受給権者死亡届(報告書)の提出 ※国民年金の場合 |
年金事務所または街角の年金相談センター | 死亡後14日以内 |
国民健康保険証の返却 | 保険者(市区町村など) | 死亡後14日以内 |
介護保険の資格喪失届の提出 | 市役所・区役所・町村役場 | 死亡後14日以内 |
世帯主変更届 | 市役所・区役所・町村役場 | 死亡後14日以内 |
3、【3か月以内】相続人・相続財産の調査など
住民登録・年金・保険等に関する事務的な手続きが終わったら、相続手続きへの対応へ早めに着手する必要があります。
とくに、少なくとも以下の各事項については、ご家族が亡くなってから3か月以内に完了させることを目標にしましょう。
-
(1)相続人・相続財産の調査
相続手続きを進めるにあたっては、相続人と相続財産を確定する必要があります。
すべての相続手続きの出発点となるため、相続人と相続財産の確定は早めに行うことが大切です。
相続人の確定は、市区町村役場が発行する戸籍謄本類を確認して行います。
多くの戸籍謄本類が必要となる場合があるほか、読み方にも難しい部分があるので、不安な場合には弁護士にご相談ください。
また、相続財産については、被相続人の遺品等を手掛かりにして、心当たりのある財産を網羅的に調査する必要があります。
漏れなく遺産を把握するためには、調査について弁護士のサポートを受けることをおすすめします。 -
(2)遺言書の有無の確認
遺言書がある場合は、原則としてその内容に従って遺産を分けます。
そのため、相続手続きを進めるにあたっては、初期段階で遺言書の有無を確認しなければなりません。
遺言書は、被相続人自身が保管している場合もありますが、法務局の遺言書保管所や公証役場で保管されている場合もあります。
法務局や公証役場に照会を依頼して、遺言書の有無を漏れなく把握しましょう。 -
(3)相続放棄
被相続人に多額の借金がある場合や、遺産分割に参加したくない場合は、相続放棄を検討しましょう。
相続放棄をすれば、借金を相続せずに済むほか、遺産分割協議への参加も不要となります。
原則として、相続放棄の期限は相続の開始(被相続人の死亡)を知った時から3か月以内です(民法第915条第1項)。
期限を過ぎると相続放棄が認められなくなるおそれがあるので、財産調査や戸籍謄本類の取得などの準備を早めに進めてください。
4、【4か月以内】所得税の準確定申告
被相続人が確定申告を行う必要があった場合、亡くなった年の所得については、納税地の税務署に対して、所得税の準確定申告を行う必要があります。
所得税の準確定申告の期限は、相続の開始(被相続人の死亡)を知った日の翌日から4か月以内です。
税理士のサポートを受けながら、申告の準備を計画的に進めましょう。
5、【10か月以内】遺産分割・相続税の申告
相続手続きのなかでも、遺産分割は最重要といえる手続きです。
遺産分割は、相続税の申告とあわせて、相続開始後10か月以内の完了を目指すことをおすすめします。
-
(1)遺産分割
遺産分割は、被相続人の遺産を相続人間で分けるための手続きです。
原則として遺産分割協議によりますが、協議がまとまらなければ、家庭裁判所による調停や審判を通じて遺産の分け方を決めることになります。
遺産分割については、法律上の期限はありません。
ただし相続税の申告が必要な場合は、申告期限との関係で二度手間を防ぐために、相続開始後10か月以内に遺産分割を完了することが望ましいといえます。 -
(2)相続税の申告
相続財産等の総額が基礎控除額を上回る場合は、相続税の申告が必要になります。
基礎控除額=3000万円+600万円×法定相続人の数
また、小規模宅地等の特例や配偶者の税額の軽減を受ける場合も、相続税の申告が必要となります。
相続税の申告期限は、相続の開始(被相続人の死亡)を知った日の翌日から10か月以内です。
税理士のサポートを受けながら、期限に間に合うように申告の準備を進めましょう。
なお、相続税の申告期限までに遺産分割が終わらなかった場合は、法定相続分に従って暫定的に相続税申告を行い、後から税額の修正(更正の請求または修正申告)を行うことになります。
6、【1年以内】遺留分侵害額請求
兄弟姉妹以外の相続人には、相続できる遺産の最低保障額である「遺留分」が認められています(民法第1042条第1項)。
遺留分額の計算方法は、以下のとおりです。
遺留分額=(基礎財産額-相続債務額)×遺留分割合
※基礎財産に含まれる財産
- 相続財産
- 遺贈された財産
- 相続人が生前贈与を受けた財産のうち、相続開始前10年以内に婚姻もしくは養子縁組のため、または生計の資本として贈与されたもの
- 相続人以外の者が生前贈与を受けた財産のうち、相続開始前1年以内に贈与されたもの
※遺留分割合は、法定相続分の2分の1(直系尊属のみが相続人の場合は3分の1)
取得した基礎財産額が遺留分額を下回った場合には、基礎財産を多く取得した者に対して遺留分侵害額請求を行い、金銭の支払いを受けることができます(民法第1046条第1項)。
遺留分侵害額請求権は、相続の開始および遺留分を侵害する贈与・遺贈があったことを知った時から1年間に、時効による消滅します。
ただし、時効が完成する前に内容証明郵便の送付や訴訟の提起などを行えば、時効の完成を阻止することも可能です。
7、【2~5年以内】年金・保険・給与等の請求、相続登記
以下の手続きについては、ある程度の時間的な余裕がありますが、時間ができた段階で早めに行っておくことをおすすめします。
手続き | 窓口 | 期限 |
---|---|---|
葬祭料・埋葬料の申請 高額医療費の申請 |
健康保険または国民健康保険の保険者(協会けんぽ、市区町村など) | 被相続人が亡くなってから2年以内 |
給与の請求(退職金を除く) | 被相続人の勤務先 | 給与の発生から3年以内 |
不動産の相続登記 | 不動産の所在地の法務局または地方法務局 | 被相続人が亡くなってから3年以内(2024年4月~) |
死亡保険金の請求 | 加入している生命保険の保険会社 | 被相続人が亡くなってから3年以内 |
退職金の請求 | 被相続人の勤務先 | 退職金の発生から5年以内 |
遺族年金の申請 ト |
|
被相続人が亡くなってから5年以内 |
未支給年金の申請 | 年金事務所または街角の年金相談センター | 被相続人が亡くなってから5年以内 |
8、期限はないが早めに行うべき手続き
以下のような手続きについては、とくに法律上の期限は設けられていません。
とはいえ、放置するのではなく、他の手続きと同じように早めに着手しておいたほうがよいでしょう。
- クレジットカードの解約
- 電話加入権の解約
- ライフラインの解約
- 運転免許証の返還
- 姻族関係終了届の提出(任意)
- 復氏届の提出(任意)
9、まとめ
ご家族が亡くなった際には、さまざまな手続きに対応する必要があります。
手続きに漏れが生じると法的なトラブルが生じる可能性もあるので注意しましょう。
とくに遺産相続の手続きについては、期限が定められているものも多く、相続人同士のトラブルが生じるケースもよくあります。
弁護士のサポートを受けながら、計画的かつ適切に相続手続きを進めましょう。
ベリーベスト法律事務所では、遺産相続に関するご相談を随時受け付けております。
グループ内の税理士と連携することで、遺産分割のみならず税務申告なども含めた相続手続き全般を幅広くサポートいたします。
相続手続きをどのように進めればよいか分からない方や、専門家に対応を一任したい方は、まずはベリーベスト法律事務所にご連絡ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています