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威力業務妨害とは? 構成要件と偽計業務妨害・公務執行妨害との違い

2024年04月16日
  • その他
  • 威力業務妨害
  • 構成要件
威力業務妨害とは? 構成要件と偽計業務妨害・公務執行妨害との違い

令和6年4月、東京都小平市に住む男が、威力業務妨害容疑で逮捕されました。男は複数の小学校へ脅迫文を郵送して業務を妨害した疑いがあると報道されています。本事件のように脅迫文を送ることや、大声で長時間文句を言ったり、インターネット上で相手を脅す内容を書き込んだりすれば、威力業務妨害罪に問われる可能性があります。

本コラムでは、刑法234条に定められている威力業務妨害について、具体的どのような行為が罪に問われるのかなどの構成要件から、科されうる刑罰、偽計業務妨害罪や公務執行妨害罪との違いと併せて、ベリーベスト法律事務所 町田オフィスの弁護士が解説します。

1、「威力業務妨害罪」とはどのような犯罪?

「威力業務妨害」はニュースでもよく聞かれる身近な犯罪です。ここでは犯罪に該当する行為の内容や、偽計業務妨害・公務執行妨害との相違点をご説明します。

  1. (1)威力業務妨害罪とは? どんな行為が該当する?

    威力業務妨害罪とは「威力を用いて、他人の業務を妨害するなどの行為」に対する罪です。

    刑法第234条に次のように規定されています。

    (威力業務妨害)
    威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。


    殴るなどの直接的な行為だけでなく、SNSへの書き込みなども該当します。また実際に妨害されていなくても、そのおそれがあるだけで罪は成立します。

    たとえば次のような行為が該当するおそれがあります。

    • 執拗にクレームの電話をかける
    • 飲食店で「接客が気に食わない」と大声で叫び暴れる
    • 「コロナに感染した」と言ってわざと店頭でせきを繰り返す
    • 「会場で人を殺す」とネット上に書き込んでイベントを中止させる など


    なお威力業務妨害罪は非親告罪であり、検察官は被害者からの告訴がなくても起訴できます。

  2. (2)偽計業務妨害罪との違い

    偽計業務妨害罪とは、虚偽の風説の流布や偽計によって、他人の業務を妨害する行為に対する罪です。

    刑法第233条に次のように規定されています。

    (信用毀損及び業務妨害)
    虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。


    「虚偽の風説の流布」をかみ砕いて説明すると、真実ではない事実を世間に広めること、「偽計」とは人をだましたり誘惑したり他人の錯誤や不知を利用したりすることです。
    正しい情報を流した場合には、偽計業務妨害罪にはあたりません

    たとえば次のような行為が該当する可能性があります。

    • 「あの店は国産と偽って中国産の食材を使っている」というデマを流す
    • 他人を装って大量の宅配ピザとすしを注文する
    • 何も起きていないのに「小学校が火事だ」と通報して消防隊を出動させる
    • 「動物園からライオンが逃げた」といううそをネットに書き込む など


    威力業務妨害罪との違いは妨害の手段が「威力」か「偽計」か、という点です
    ただ両者は明確に区別しづらい面があり、実際には事案によって威力か偽計か個別に判断されます。

    なお刑法第233条には信用毀損(きそん)罪も含まれています。
    信用毀損罪は「あの会社の商品は粗悪品ですぐに壊れる」などとうそを言いふらし、会社の経済的信用を傷つける行為に対する罪です。
    対象が「業務を妨害した」ことではなく「信用を傷つけた」ことにあるという点に違いがあります。

  3. (3)公務執行妨害罪との違い

    公務執行妨害罪とは「暴行や脅迫によって、公務員の公務を妨害する行為」に対する罪です(刑法第95条1項)。実際に妨害されていなくても罪にあたります。

    たとえば次のような行為です。

    • 職務質問をしてきた警察官に殴りかかる
    • 交通整理中の警察官に石を投げる
    • 税務調査で訪れた役所の職員を「殺すぞ」と脅して、追い返す など


    威力業務妨害罪、偽計業務妨害罪との違いは、妨害する対象となる行為が警察や役所などの「公務」であるかどうか、手段としての「暴行・脅迫」が要件となっているかどうかです。

    暴行や脅迫を伴う妨害でも、対象が民間企業の場合は「威力業務妨害」です。
    対象が公務員でも、暴行や脅迫はなく、うそを言って業務を妨害した場合は「偽計業務妨害」です。
    「公務」が「暴行・脅迫」によって妨害されたといえる場合には公務執行妨害が適用されます。

2、威力業務妨害の構成要件とは

威力業務妨害罪を適用するためには「威力を用いて」「業務を」「妨害した」という、3つの要件を満たしている必要があります。それぞれどのような意味なのか、具体的にご説明します。

  1. (1)「威力を用いる」とはどういう意味?

    「威力」とは「人の意思を制圧するに足りる勢力を使用する」ことをいいます。
    殴る蹴るといった暴力や「殺すぞ」といった脅迫だけでなく、多人数で押しかけたり、怒号を発する等して強く要求する場合もこれにあたる場合もあります。

    たとえば店で大声を出す、集団で押しかける、店内に汚物をまき散らすといった行為がこれにあたります。

  2. (2)「業務を」「妨害した」とはどういう意味?

    「業務」とは人が社会生活を継続するうえで継続反復する仕事をいいます。
    営利活動である一般的な「仕事」だけでなく、政治活動や宗教活動、ボランティア活動、学校の授業なども業務に位置付けられます。

    警察官による逮捕など強制力を行使したいわゆる「権力的公務」は、「業務」にはあたりません。
    権力的公務を暴行または脅迫を用いて妨害した場合は、威力業務妨害ではなく「公務執行妨害」に問われます。

    次に「妨害」は現実に業務を妨げることだけでなく、業務を妨害するに足りる行為があれば足ります。実際に業務が妨害されたかどうかは関係ありません

    拡声器で邪魔をして政治家の街頭演説をできなくする、学校の授業を中止させるといった行為も対象です。

3、威力業務妨害罪の罰則は?

悪気はなかったとしても、度が過ぎた行為で相手の業務を妨害すれば威力業務妨害容疑で逮捕される可能性があります。刑罰は次の通りです。

  1. (1)威力業務妨害罪の罰則

    威力業務妨害罪の刑罰は「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」です。

    初犯であっても手口が悪質な場合などは、執行猶予がつかず実刑判決を受ける可能性があります。

    なお偽計業務妨害罪の刑罰は「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」、公務執行妨害罪は「3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金」です。

  2. (2)暴行や脅迫などは別に罪に問われる

    業務を妨害する際に相手を殴ってケガをさせたり、お店のドアを壊したりした場合には、威力業務妨害罪とは別に暴行や傷害、脅迫、器物損壊などの罪に問われます。

    その場合は、威力業務妨害罪だけに問われるよりも刑罰は重くなります。

4、威力業務妨害で逮捕された場合の流れ

「お店の中で、カッとなって大声で文句を言って騒いだ」などとして、自分や家族が威力業務妨害容疑で逮捕された場合、次のような流れで捜査や裁判が行われます。

  1. (1)威力業務妨害で逮捕された後の流れ

    威力業務妨害容疑で逮捕されると、一般的には次のような流れで対応が進みます。

    1. ① 逮捕
    2. ② 検察への送致(逮捕後48時間以内)
    3. ③ 検察官が勾留請求(逮捕後72時間以内)
    4. ④ 裁判官が認めれば10日間の勾留
    5. ⑤ 延長が認められればさらに10日間の勾留
    6. ⑥ 検察官が起訴・不起訴を判断
    7. ⑦ 不起訴の場合は釈放、起訴されれば刑事裁判
    8. ⑧ 裁判判決


    逮捕から起訴までは最大で23日間、身柄が拘束されます。起訴され被告人となった後も、保釈されなければ家には帰れません。

  2. (2)逮捕後すぐに弁護士に相談しよう

    刑事事件で逮捕後に起訴された場合、日本ではほとんどのケースで有罪判決がくだされます。
    裁判で有罪となれば前科がつきます。執行猶予がつかない実刑判決となれば、刑務所に入ることになります。自分や家族への影響は計り知れないでしょう。

    ただし不起訴となれば、裁判は開かれません。また家族のもとに帰ることができます。そのため、なるべく早い社会復帰を目指すためにも、不起訴処分を得ることはとても重要です。

    検察官に不起訴と判断してもらうためには、逮捕直後からの弁護士の活動がポイントとなります。
    弁護士が被害者との示談を進めたり、警察や検察に働きかけたりすれば、不起訴を得られる可能性が高まります

    また勾留されている被疑者は身動きがとれないため、示談は弁護士に代行してもらうとよいでしょう。弁護士であれば被害者からの信用が得やすく、示談に応じてもらえる可能性が高まります。
    起訴されてしまった場合でも、示談が成立していれば量刑を考慮される可能性があります。

    刑事事件は弁護士への相談は早ければ早いほど、前科がつくかどうかの結果に大きく左右します。そのため刑事事件で逮捕された場合は、なるべく早く弁護士へ相談されることをおすすめします。

5、まとめ

刑法234条に定められている威力業務妨害容疑で逮捕されたのち起訴されて有罪になれば3年以下の懲役または50万円以下の罰金に処されてしまいます。威力業務妨害容疑で警察から連絡がきた、ご家族が逮捕されたのであれば、なるべく早いタイミングで弁護士に対応を相談すべきです。

ベリーベスト法律事務所 町田オフィスでは、威力業務妨害罪をはじめとした刑事事件についての知見が豊富な弁護士が、被疑者の方やそのご家族を全力でお支えしております。ご事情をお聞きして不安な点には真摯に回答し、自首のサポートや逮捕されてしまった場合の初期対応、被害者との示談交渉などできる限りの対応を行います。
お一人やご家族だけで対応しようとするのではなく、まずはお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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